「オフィス移転にかかる費用ってどのくらい?」このような質問をよくいただきます。
しかし、オフィス移転はオーダーメイド。会社ごとに立地や大きさ、希望する内装などが異なるため、一概には言えないというのが結論です。
それでも「どのくらいかかるかはある程度知っておきたい」という方のために、今回の記事ではオフィス移転時にかかる費用を洗い出し、それぞれの相場についてお話していきたいと思います。
オフィス移転にかかる費用の相場は?
まずは、オフィス移転にかかる費用にどのようなものがあるのかをチェックしていきます。
オフィス移転の流れが頭に入っていると費用についてもイメージしやすいため、「流れが分からない」という方はこちらの記事を先にご覧ください。
オフィス移転にかかる費用は大きく分けて以下の通りです。
- 原状回復工事費
- 引っ越し費用
- 新しいオフィスの賃貸契約にかかる費用
- 内装工事費
- 家具・什器・OA機器購入費
それぞれ詳しく解説していきます。
原状回復工事費
オフィスを退去する際に必要となるのが、原状回復工事です。
費用については
- オフィスの場所
- オフィスの大きさ
- 築年数
- 施した内装
- 現状回復工事の範囲
これらの要因によって大きく左右されます。
中・小規模のオフィスであれば一坪あたり30,000円〜50,000円、大規模なオフィスであれば一坪あたり70,000〜100,000円あたりが費用の目安となっています。
とは言え振れ幅が大きいので、「この金額に近かったら大幅なぼったくりではない」ぐらいで認識しておいてください。また、こちらは一般的なオフィスの相場ですので、内装が複雑な場合などには、さらにかかる場合も有ります。
原状回復工事について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
引っ越し費用
引っ越しにかかる費用は以下の通りです。
- 引っ越し費用
- 廃棄物処理費用
引っ越しの費用は荷物の量・搬出の条件・時期によって左右されます。
一応の費用の目安としては、社員1人あたり3万円というものがあります。こちらはロッカー、デスク、チェアなど、一般的なオフィスでの1人あたりの荷物量から算出したものです。平均よりも少なければ安く済み、多ければそれだけ高くつきますし、エレベーターの有無など、荷物を運ぶときの条件によっても費用が変わります。
また、引っ越しをする時期によっても値段が最大50%ほど変わります。
引っ越しが集中する2月〜4月上旬の時期は、人件費などの兼ね合いで価格が1.5倍ほどになる可能性があります。「できるだけ費用を安く抑えたい」と言うことであれば、5月〜6月、10月〜11月が狙い目となっています。
次に廃棄物処理費用についてです。
廃棄物処理の費用相場については、4トントラックのコンテナ一つ分で90,000円〜120,000円となっています。こちらは地域などによって異なります。
業者さんによっては買取を行っているところもあり、その場合は廃棄処理費用を抑えて処分をすることができます。業者さんごとに対応が異なるので、自分の望むサービスを受けることができるかどうかは事前に確認しましょう。
新しいオフィスの賃貸契約にかかる費用
新しいオフィスの賃貸契約にかかる費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 敷金(保証金)
- 前払いの家賃
- 火災保険料
- 保証委託料
仲介手数料
不動産業者やブローカーに物件探しを依頼した場合は、仲介手数料が最大で家賃の1ヶ月分かかります。
敷金(保証金)
敷金(保証金)については家賃の3ヶ月〜12ヶ月分を請求されます。
王手ビルオーナーの所有する物件の場合は12ヶ月分であることがほとんどです。個人所有や小さい会社の所有する物件の場合はやや少なくて済み、最低で3ヶ月分〜となります。
なお、個人所有の場合は追加で礼金が設定されていることもあるので注意が必要です。王手のビルでは礼金は不要です。
前払いの家賃
こちらは物件によりますが、最大で入居後3ヶ月ほどの家賃を前払いするところもあります。
逆に前払いが必要のない物件もあります。
火災保険料
火災保険料として年間で10,000円〜18,000円ほどかかります。こちらは2年契約の会社が多いです。体感として7、8割は2年契約となっています。
費用はオフィスの大きさや保証が必要な範囲(什器・機器・家具の価値など)によって変わります。
保証委託金
社会的に信用が弱い会社の場合や家主側が定めている時には、賃貸契約の審査を通すために家賃保証会社へ保証委託金を支払う必要があります。
- 保証が必須の不動産業者
- 法人の設立から5年以下
- 会社の規模が小さい
- 決算書の売り上げや債務状況が良くない
このような状態に該当する場合は、保証委託金が必要になるケースが多いです。
保証委託金は、ほとんどのケースで家賃の1ヶ月分です。保証契約更新のたびに支払うことになります。
内装工事費
内装工事についても、内容によって価格はかなり左右されます。
なお、「内装工事」と一口にいいますが
- 内装デザインに関する工事
- 建具工事
- パーテーション工事
- 電気設備工事
- 空調換気消防設備工事
- 消防設備工事
- その他諸費用
というように様々な作業が含まれています。
一応の相場としては1坪あたり100,000円〜200,000円となっており、こだわる場所や使用する素材によって変化します。
極小規模なオフィス(10〜20坪程度)で1,500,000円〜2,000,000円、小規模なオフィス(30坪程度)で4,000,000円〜6,000,000円、中規模なオフィス(100坪程度)で10,000,000円〜1,300,000円、大規模なオフィスになるとそれ以上かかってくると思っておくと、良いでしょう。
家具・什器・OA機器購入費
内装を施した新オフィスに、家具・什器・OA機器などを設置することによって、オフィスが出来上がります。
こちらも価格はピンキリですが、デスクやチェアなどを1から揃える場合、社員一人あたり100,000円〜300,000円ほどの予算を用意しておきましょう。
また、お客様をお通しする応接室や社員のリラックスできるスペースをつくるときに、より質の良い家具を揃えるケースが増加しています。そのようなけースでは追加で大きなお金が必要になります。
また、移転にともなってビジネスフォン、PC、コピー機の増設・入れ替えを行うお客様も多くいらっしゃいます。OA機器の見直しによってコストカットを実現しつつ業務効率化に繋がるといったこともありますので、移転の機会に一度見直しすることをおすすめします。
その他の費用
その他かかる費用は以下の通りです。
- 印刷物の修正費用
- 社員証・セキュリティカードの再発行
- 書類の届出にかかる費用
住所が記載された印刷物については新しい住所で発行をし直す必要があります。名刺や封筒があてはまります。また、社員証やセキュリティカードについても新しくする必要があるでしょう。
社員一人あたり15,000円を予算としておきましょう。
書類については、行政書士や顧問弁護士に依頼した場合、150,000円ほどかかります。
自分で行う場合は登記にかかる登録免許税の30,000円で済みますから、小規模な会社は自分で行うのも一つの手です。
移転の際に必要な届出についてはこちらをご覧ください。
オフィス移転にかかる費用のモデルケース
ここからは、実際にどのくらいの費用がかかったかについて、モデルケースで見ていきます。
ただし、立地や詳細な要望、実際の工程によって費用は大きく変わりますので、あくまでも参考程度でお願いします。
A社
- 社員数6名
- 10坪→22坪へ移転
- 同じ県内へ引っ越し
- 内装は特にこだわりなし
- OA機器の増設と入れ替えを行う
項目 | 費用 |
原状回復工事 | 400,000円 |
引っ越し費用 | 300,000円 |
新オフィスの賃貸契約 | 1,600,000円(保証金8ヶ月分込み) |
内装工事費 | 2,100,000円 |
家具・什器・OA機器購入費 | 900,000円 |
その他の費用 | 200,000円 |
総額 | 5,500,000円 |
B社
- オフィスを利用する社員24名
- 38.5坪→80坪へ移転
- 県外→東京都内の有名地
- 企業イメージにあったアンティークな内装
- ソファやテーブルなどの高級家具を設置
- OA機器増設
項目 | 費用 |
原状回復工事 | 3,200,000円 |
引っ越し費用 | 900,000円 |
新オフィスの賃貸契約 | 13,850,000円(敷金12ヶ月分込み) |
内装工事費 | 11,200,000円 |
家具・什器・OA機器購入費 | 3,400,000円 |
その他の費用 | 800,000円 |
総額 | 33,350,000円 |
まとめ
ここまでオフィス移転にかかる費用と相場について解説してきました。
移転作業はオーダーメイドであり、一言でいくらとは言えないものとなっています。
しかし、それだけにぼったくりのような見積もりを出す悪質な業者も少なからず存在します。オフィス移転を成功させるためにも、知識をつけて適切な業者を選べるようにしましょう。
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