最近多くのパソコンに普及しているSSDですが、そのSSDにも種類があるというのをご存知でしょうか?
Googleなどでスーパーコンピュータに搭載されているストレージと一般家庭やデスクワーク中心のパソコンで使われるストレージとでは全く違います。
今回土日休み.comでは、そんなSSDの性能に大きく関係してくるパーツの1つに着目して解説していきます。そのパーツとは、「NAND型フラッシュメモリー」といい2018年現在「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」の4種類が存在します。今回はその4種類あるうちの1つであるTLC(トリプルレベルセル)について解説していきたいと思います。
「NAND型フラッシュメモリーってなに?」
「フラッシュメモリーには4種類あるの?」
「そもそもストレージってなに?」
という方は下の記事を見てからこの記事をみることをおすすめします。
TLC(トリプルレベルセル)採用SSDの特徴とは?
TLC(トリプルレベルセル)とは、データを保存するセルという部屋に3ビットの情報を入れることができる『NAND型フラッシュメモリー』のことを指します。
TLCの他にもSLC(シングルレベルセル)、MLC(マルチレベルセル)、QLC(クアッドレベルセル)の計4種類のNAND型フラッシュメモリーに分類されます。これら4種類のNAND型フラッシュメモリは、SSDなどのストレージ性能に大きく関係しており、性能が高い順にそれぞれ「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」となっています。
そもそもNAND型フラッシュメモリについてよくわからないという方もいると思うので、TLCの詳細を話す前に、初心者にもわかりやすいように、SSDの基礎知識を簡単に解説しておきましょう。「SSDについては詳しい!」という方は、飛ばしてOKです!
- そもそもSSDの仕組みや構造ってどうなっているの?
- NAND型フラッシュメモリの「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」って何が違うの?
- SSDの規格である『SATA(シリアルATA)』『mSATA』『M.2』って何が違うの?
基本的には下の記事にまとめてあることなので、各小見出しを読んだ上で、SSDの種類の解説をもっと知りたいという方は下の記事を参考にしてもらえればと思います。
1.そもそもSSDの仕組みや構成ってどうなっているの?
SSDは主に3つのパーツで構成されています。
- コントローラー
- NAND型フラッシュメモリ(メモリチップ)
- DRAMキャッシュメモリ
それぞれ簡単に解説すると、以下の通りになります。
メモリコントローラとは、データを実際にやり取りする中枢部分です。
少しパソコンに詳しい人ならわかると思いますが、パソコンの頭脳はCPU(中央処理装置)ですが、SSD内の頭脳は、このコントローラです。実際に、このコントローラの性能次第で、処理速度が全く変わってきます。2020年現在は、コントローラの性能は全体的に高く、SSDを選ぶ際にはあまり気にする必要はないです。
NAND型フラッシュメモリとは、データを記憶する場所です。
先にちょろっと解説した、「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」というのは、NAND型フラッシュメモリの種類の一部です。詳しい解説はこのあとでするので、一旦この辺で解説をとどめておきます。
DRAMキャッシュメモリとは、一時的にデータを記憶する場所です。
小さなデータを一時的にデータを記憶しておくことで、処理速度を高める役割があります。
- コントローラ:データをやり取りする中枢でSSD内の頭脳
- NAND型フラッシュメモリ:データを記憶する場所
- DRAMキャッシュ:一時的にデータを記憶する場所
詳しい解説は下の記事にまとめてあるので参考にしてください。
2.NAND型フラッシュメモリの「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」って何が違うの?
突然、SLCやTLCなどよくわからないアルファベットが並べられて戸惑っているという方もいると思いますが、かなり丁寧に解説していくので安心してください。
先程から頻出している「SLC」や「TLC」というのは、SSDを構成する部品の一つであるNAND型フラッシュメモリ(メモリチップ)をさらに細かく分類したもののことです。
2020年現在では、4種類存在します。
- SLC(ソリッドレベルセル)
- MLC(マルチレベルセル)
- TLC(トリプルレベルセル)
- QLC(クアッドレベルセル)
ざっと以下の表が、各種類の性能や価格帯などの特徴をまとめた表です。
種類 | 性能 | 価格帯 | 顧客層 |
SLC | ★★★★ | 数十万円くらい | 会社、企業向け |
MLC | ★★★ | ¥5,000~¥150,000くらい | 一般家庭向け |
TLC | ★★ | ¥3,000~¥20,000くらい | 一般家庭向け |
QLC | ★ | ¥3,000~¥20,000くらい | 一般家庭向け |
SSDなどのストレージには、これらの4種類のいずれかが採用されており、2020年現在MLCを採用したSSDが最も多く普及しており、2番目に多く普及しているのがTLC採用のSSDです。
今回、メインで解説しているTLC(トリプルレベルセル)は、トリプルという名の通り、3bitの情報をセルと呼ばれる保存空間に入れることができるように設計されたものを指します。
ちなみに、「bit=情報量」です。bitについて詳しく知りたいという方は下の記事で解説しているので、参考にしてください。
- NAND型フラッシュメモリには4種類ある。
- 「SLC」や「TLC」はそれぞれ性能や価格帯が異なる。
- TLCは、セル(保存空間)の中に3bitの情報を入れ込む。
詳細は下の記事にまとめているので、参考にしてみてください。
3.SSDの規格である『SATA(シリアルATA)』『mSATA』『M.2』って何が違うの?
SSDには、規格というものが存在し、2020年現在で利用されている規格は主に3つあります。
- SATA(シリアルATA)
- mSATA(mini SATA)
- M.2
各規格の解説をする前に、「そもそも規格とはなんぞや?」という話ですが、アメリカと日本で電源コンセントのプラグの形状や大きさが違うのと同じで、SSDにも規格によって形状やデータのやり取りの仕方が異なります。
また、それぞれの規格には特徴があるのでざっと解説しておきます。
SATA規格は、デスクトップパソコン向けで省エネ重視の規格。
mSATA規格は、ノートパソコン向けで省エネ重視の規格。(SATA規格の後継品です。)
M.2規格は、処理速度重視の規格。(最新の規格です。)
最もシェア数が多いのはSATA規格ですが、新しくシェアを伸ばしている規格は、M.2です。M.2規格は、SSDの処理速度を向上させるために開発されました。
- SATA(シリアルATA):省エネを重視したデスクトップPC用の接続規格
- mSATA:省エネを重視したノートPC用の接続規格
- M.2:処理速度を重視したPC接続用規格
詳細は下の記事にまとめてあります。
TLC採用SSDを導入するメリット・デメリットとは?
ここからは、NAND型フラッシュメモリー『TLC』採用のストレージを導入するメリットやデメリットをまとめていきます。
TLC採用SSDのメリット
TLC採用のストレージを導入するメリットは主に2つあります。
1つ目のメリットは、MLCよりも価格が安いという点です。
これはTLCの仕組みに秘密があります。良い表現をすれば空間を効率よく使っているためです。悪い表現をすれば、ケチっているとも言えます。
TLC(トリプルレベルセル)は、1つのセル(情報を保存する場所)の中に3ビットの情報を入れ込みます。ちなみに、SLCは1つのセルの中に1ビット、MLCは1つのセルの中に2ビットの情報を入れ込むことができます。
つまり、1つのセルでより多くの保存ができるということは1セル辺りの容量が結果的に増えることに繋がります。したがって、より少ないセルで多くの情報を詰め込めるためTLCはSLCやMLCよりも安く購入することができるのです。
2つ目のメリットは、容量のバリエーションが多数あるという点です。
これは一般家庭に多く普及しているのがMLCとTLCであるため、それだけ多くの製品が普及しているからです。
- MLCよりも価格が安い。
- 容量のバリエーションが多数ある。
TLC採用SSDのデメリット
TLC採用のストレージを導入するデメリットは主に2つあります。
1つ目のデメリットは、書き込み回数が少なく。MLCよりも寿命が大幅に減少する点です。
これはTLCの仕組み上1つのセルの中に3ビットというSLCやMLCのよりも多くの情報を詰め込むためです。
1つのセルの中に多くの情報を詰め込むというのは、まるでTLCが優秀なようにも聞こえるかもしれませんが、一つのセルの中に多くの情報を詰めば詰め込むほど1つのセルの中に入っている情報は複雑になります。つまり、情報を見つけ出すのも、削除するのに負荷がかかります。負荷がかかるということはSLCやMLCよりもより劣化が早まるというわけです。
2つ目のデメリットは、書き込みエラーが起きやすいという点です。
これはSLCが1つのセルの中に3ビットという比較的多めの情報を詰め込むため、データがSLCやMLCよりも複雑に絡みあるため書き込みエラーが起きやすくなるというわけです。
- 書き込み回数が1000~5000回と少なく、MLCよりも寿命が大幅に減少する。
- 書き込みエラーが起きやすい。
TLC採用のSSDの平均価格とは?おすすめSSDの選び方は?
ここからは、MLC採用のSSDがどのくらいの価格帯なのかをご紹介していきたいと思います。
TLC採用のSSDはSLCやMLCに比べ非常に安い傾向にあります。もちろんQLC(クアッドレベルセル)はさらに安くはなりますが、性能的欠点が多いためTLCが性能で安くSSDが手に入るギリギリのレベルとも言えるでしょう。
実際TLC採用限定でおすすめの製品をいくつか一覧にしておくので参考にしてください。
SSDの容量(GB) | SSD単価(円) |
250GB | 約¥5,000~¥7,000 |
500GB | 約¥7,000~10,000 |
1000GB(1TB) | 約¥13,000~¥25,000 |
2000GB(2TB) | 約¥32,000~¥60,000 |
4000GB(4TB) | 約¥80,000~¥110,000 |
TLC採用SSDの平均寿命・耐久性ってどのくらい?
ここからは、TLC採用のストレージの寿命についてご紹介していきたいと思います。
TLCの書き込み回数の寿命は、業界的には約1000~5000回とされています。大体低価格のUSBと同じくらいの書き込み回数です。また、MLCの寿命書き込み回数が約1万回なのに対してTLCは1000~5000回となっており、単純に10分の1の寿命とした場合は1~2年が寿命だと思っていても良いでしょう。
ただし、動画編集や画像編集などの負荷のかかる作業をメインで行った場合は1年で寿命を迎えてしまう可能性もあります。逆に、文書などを作成するくらいの負荷のかかりくい作業をメインで行った場合は4~5年ほどの耐久性はあると予想されます。
何にせよ、今自分が使用しているストレージの状態を常に把握しておくことはデータを管理する上で非常に大切です。最近ではフリーソフトを入れるだけでストレージの状態を調べてくれるフリーソフトもあるので、導入しておくことを強くおすすめします。
SSDの寿命に関する詳細は下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
まとめ
ここまで、TLCについてまとめてきましたが現実的にSSDの導入をする場合は、MLCかTLCの2択になるはずです。SLCは高性能、高単価なのでおすすめしませんし、QLCは性能と耐久性が低すぎるのでおすすめしません。
【追記】
2020年現在では、コントローラの性能がかなり向上してきているため、QLCのNAND型フラッシュメモリでも充分性能に期待できます。最近では、QLCの開発も企業が力を入れています。
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