「SSDのSLCってなに?」
「SLCってどこがすごいの?」
「SLCの価格帯ってどのくらいなの?」
今回の記事ではこのような疑問を解消していきたいと思います。実際、会社などで大量にパソコンを導入するときに「言われるがままにカスタムしてしまった結果、コストが膨らみ過ぎてしまった。」ということにならないためにも自分でパソコンのパーツの大体の仕組みや価格帯などを知っておくことをおすすめします。
また、どうしてもパソコンには弱くてどのようなパソコンを導入したら良いのかわからないという方のためのサービスについても、本文の最後にご紹介しているので「これから会社のパソコンを買い替えたい!」という方は利用してみることをおすすめします。
さて、早速本題に入りたいとことですが、この記事を読む上でSSDについての最低限の知識は持っていることを前提に執筆しています。なので、「SSDがどういうものかよくわからない。」という方は、パソコンが得意でない人でもわかるようにSSDについて記事にまとめてあるので必要な場合は参考にしてみてください。
SLC(シングルレベルセル)採用SSDの特徴とは?
SLC(シングルレベルセル)とは、データを保存するセルという部屋に1ビットの情報を入れることができるNANDフラッシュメモリーというSSDなどのストレージ性能に大きく関わる部品のことを指します。
SLCの他には、MLC(マルチレベルセル)、TLC(トリプルレベルセル)、QLC(クアッドレベルセル)があり、SLCも含めると合計の4種類のSSDが存在します。ちなみに、MLCは1つのセルに2ビット、TLCは1つのセルに3ビット、QLCは1つのセルに4ビットのデータを保存します。
4種類のNAND型フラッシュメモリーの中でもSLCは最も性能が高く、価格帯も高くデータの処理速度が求められるような業務を行う企業向けの製品となります。また、一般家庭では、MLCもしくはTLCのNAND型フラッシュメモリーが普及しています。
今回はその他のセルの説明は省略するので、NAND型フラッシュメモリーについてさらに知りたい方は下の記事を参考にしてください。
SSDの中身である『NAND型フラッシュメモリ』とは?
SSDは主に3つのパーツで構成されています。
- メモリコントローラ
- DDRキャッシュメモリ
- NAND型フラッシュメモリ(メモリチップ)
1つ目のコントローラとは、SSDの処理速度に大きく影響するパーツです。
コントローラの役割としては、メモリチップにデータを送るなど、実際にデータを処理しています。ひと昔前の世代では、このコントローラの性能が低く、フリーズが起きたりと障害が発生したりしていましたが、2020年現在ではコントローラの性能が大きく飛躍し、性能、価格ともに落ち着いています。
2つ目のDDRキャッシュメモリとは、データを一時的に記憶することで、処理速度を上げるためのものです。
人間で例えるところの机の上に置いてあるペンのようなものです。頻繁に使うものを机の上の置いておくことで、全体的な処理速度を向上させることができます。
3つ目のNAND型フラッシュメモリ(メモリチップ)とは、実際にデータを保存しておく格納庫のようなものです。
「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」の4種類に分類され、それぞれ性能、耐久性、価格帯が異なってきます。
メモリチップである「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」ってそもそも何?
先に解説した通り、メモリチップには主に4種類あり、価格・性能・耐久性のレベルが大きく異なるのがポイントです。
- SLC(シングルレベルセル):企業向けで最高性能を誇るセル
- MLC(マルチレベルセル):一般向けの中では最高性能を誇るセル
- TLC(トリプルレベルセル):一般向けで中級レベルの性能を誇るセル
- QLC(クアッドレベルセル):一般向けで最も性能の低いセル
一般的には、MLCやTLCが現在最も市場に出回っています。最近では、コントローラの性能が飛躍しているため劣化のスピードが早いQLCもパソコンに導入され始めています。
それぞれの細かい解説は下の記事を参考にしてください。
NAND型フラッシュメモリーSLC採用のSSDメリット・デメリットとは?
ここからは、NAND型フラッシュメモリー『SLC』のストレージを導入する際のメリットやデメリットをまとめていきたいと思います。ただし、あくまで、NAND型フラッシュメモリーの「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」を比較対象にしてあるので、SSDとしてのメリットやデメリットは一旦省きます。SSDとHDDの比較が気になる方は下の記事を御覧ください。
SLC採用のSSDを使うメリット
NAND型フラッシュメモリー「SLC」のSSDを導入するメリットは主に4つあります。
1つ目のメリットは、処理速度が最も早いという点です。
NAND型フラッシュメモリーは4種類が存在していますが、その4種類の中でも最も処理速度が早いです。これはSLCならではの設計が施されており、
簡単に説明するとデータを保存する空間を贅沢に使っているため、処理が非常にシンプルに行うことができるのです。一つの部屋で物を探すと想像してください。部屋が散らかっていれば、探しものはなかなか見つかりにくいですが、部屋の中にものが2つしかなければ当たり前ですがすぐに探しものを見つけられるはずです。
2つ目のメリットは、耐久性が高く、寿命が長いという点です。
耐久性が高いのは、先程メリットの1つ目でお話した通り、SLCの仕組みは非常にシンプルなためデータの読み書きへの負荷を軽減することができます。そのため発熱しにくく耐久性が上がるというわけです。
3つ目のメリットは、書き換え回数が多いという点です。一般的には約10万回が業界目安となっているようです。
書き換え回数が多いのは、メリットの1つ目と2つ目と重なる部分もあるのですが、SLCの作りがシンプルなためデータを読み込む際に無駄な動きをすることなくデータを保存、削除、コピーなどの処理ができるため負荷がかかりにくく書き換え回数も必然と増えるというわけです。
4つ目のメリットは、仕組みがシンプルなため、エラーが起きにくいという点です。
これもまた、メリットの1~3つ目に重なるのですが、SSDと言えど処理を遂行できない場合があります。それは、複雑過ぎて探しものを見つけることができなかったりする場合です。しかし、SLCの場合は仕組みが非常にシンプルでデータを保存する際には保存する部屋を贅沢に使うだけにエラーが起きにくいというわけです。
- 処理速度が最も早い。
- 耐久性が高く、寿命が長い。
- 書き換え回数が多い。(約10万回)
- 仕組みがシンプルなため、エラーが起きにくい。
SLC採用のSSDを使うデメリット
NAND型フラッシュメモリー「SLC」のSSDを導入するデメリットは主に2つあります。
1つ目のデメリットは、価格帯が高いという点です。一般家庭向けというよりは、コンピュータのスペックを求められる業務を行う企業向けです。
価格帯が高い原因は、一つのセルに1ビットのデータしか保存しないためデータの容量を増やそうと思うと自然とセルの数を増やさなければなりません。セルの数を増やすとなるとその分価格が跳ね上がるというわけです。
2つ目のデメリットは、容量が比較的小さい製品が多いという点です。
これは、容量を大きくするためにはコストがかかるため一般的な市場ではなかなか売れない原因に繋がります。そんため容量が大きいものがなかなか市場に出回らないというわけです。
- 価格帯が高く、企業向け。
- 容量が比較的小さい製品が多い。
SLC採用のSSDの価格帯とは?
NAND型フラッシュメモリーの4段階のなかでも最高ランクを誇る「SLC」の導入価格とは一体どの程度のものなのかを検証していきます。
実際Amazonを参考にしても、「SLC」というだけで価格帯は跳ね上がるのをわかっていただくために、一般的に家庭などでも利用されているSSDとHDDをご紹介したいと思います。ちなみに、一般的に使われているストレージはMLCもしくはTLCです。MLCやTLCについてさっぱり分からないという方は下の記事を参考にしてみてください。
SLC採用SSDの場合
それぞれAmazonからベストセラーのHDDとSSDを引っ張ってきました。どちらも非常に優秀なのですが、これら2つはSLCを搭載してはいません。
HDDの場合、大体の相場がSSDが普及し始めてからは特に年々下がってきており、今では2TBの容量を搭載したものが¥10,000弱で購入できたりします。
SSDの場合、大体の相場が一時高騰していましたが、一般家庭向けのMLCやTLCなどが普及し始めてからは徐々に価格が安定し、今では500GBが1万円弱くらいで購入できるようになっています。
SLC採用ではないSSDの場合
さてここより下が、SLCを採用しているHDDやSSDなどのストレージなのですが、一旦価格帯だけみただけでその違いは一目瞭然だと思います。
このHDDは500GBで¥80,000を超えています。もちろんその分処理能力や耐久性は上がりますが、日々数百GBの情報を処理しなければならない場合には利用コスパが高くなるかもしれません。
続いて、SSDをいくつか例に上げていきましょう。
正直この価格帯までいくと通常のパソコンに積まれているような500GBや1TB といったストレージ容量にするためにはどれだけ予算がかかってくるのか気になりますね。
SLC採用SSDの平均寿命ってどのくらい?
NAND型フラッシュメモリーの中の「SLC」を採用したストレージの寿命は果たしてどのくらいなのか?
通常の一般家庭で使われるようなSSDの場合、一日に20~40GBを処理すると想定されており、平均寿命は約4~5年となっています。ただ、20GB~40GBというデータを一日で毎日処理するのはなかなか大変なため、インターネットでの検索やワードやエクセルといった事務的な作業をする目的で使用された場合には6~8年は持つと言われています。
一般的なSSDの処理回数が1万回以下なのに対し、SLCの場合は10万回の処理に耐えられるように設計されているようです。
つまり、一日に20~40GBというデータを処理を想定した場合は、単純に計算しても60~80年は持つ計算になります。
もちろん実際は1日に数千GBという単位でデータを処理することを目的として利用しないことにはSLCを導入する意味はないのですが、一般家庭のデータ処理を例に取るとほぼ一生持ちます。
まとめ
ここまででSLCについてまとめてきましたが、SLC採用のストレージを利用するのはかなり特殊な場合とだけ覚えていただければ大丈夫です。SLCは、高性能な分それだけ価格帯なども高く、なかなか一般的に使用されることはありません。
一般的に利用されるのは、SLCよりも一般家庭向けに設計されたMLCやTLCがSSDに使われることが多く、一般家庭や会社のデスクワークとしてSSDを使用する分には、MLCやTLC採用のSSDが最もコスパが高いと思われます。
細かいSSDの仕組みやおすすめのSSDが気になる方は、下の関連記事を参考にしてみてください。
コメントを残す